Webサイトから製品の3Dモデルを配信する4つの方法
Eメールによる配信、自社管理の3Dカタログ、ニュートラルクラウド、ネイティブクラウド……貴社に最適なCAD/BIMデータの配信方法はどれでしょうか?
3D CADモデルをオンラインで配信することは今や贅沢なことではなく、必然です。製造業のマーケティング担当者の声を聞いてみましょう。
CADモデルをオンラインで入手することは、私たちの業界では標準です。(Helix Linear)
CADファイルを自社サイトに置くことは、顧客が求める製品コンテンツをより適切に提供するのに役立ちます。当社は自社サイトでのカスタマーエクスペリエンスの改善に継続して取り組んでいます。(JTEKT North America)
エンジニアや建築家は、部品メーカーのWebサイトで部品の3Dモデルが見つかることを期待しています。貴社製品のデータが無料ダウンロードで利用できない場合、貴社は貴重なリードと受注を逃す可能性があります。
幸いなことに、現在3Dモデルをオンラインで配信することは今までになく容易になっています。
CADENASは、部品メーカーが自社サイトから顧客にCADモデルの配信を始めて売上を伸ばす例を100社以上見てきました。正しく施策を行うことによって、貴社もダウンロードと売上を伸ばすことができます。
貴社は既に3D CADモデルの配信を行っているかもしれませんが、それは最も効率のよい方法でしょうか?
本記事は、CADデータの配信方法にどのような選択肢があるかをより深く理解することを目的としています。4つの方法について分析し、それぞれの長所と短所を見ていきましょう。
顧客にCADデータを配信する4つの方法
CAD/BIM製品モデルを提供するおもな方法は4つあります。
- Eメールによる配信
- 自社管理のソリューション
- ニュートラルクラウド
- ネイティブクラウド
オンラインでのCADモデル配信の核心に迫ってみましょう。まずは最もベーシックな方法から始め、より先取的なソリューションへと進んでいきます。
1.Eメールによる配信
顧客はメールか電話で製品のCADモデルをリクエストします。カスタムモデルが必要な場合、リクエストと一緒に2D図面や製品仕様の送付が必要となることがあります。
その後、リクエストは設計チームに送られ、エンジニアはモデルを探すか作成して顧客にメールで送付します。
このプロセスは、エンジニアの作業量にもよりますが数時間から数週間かかります。
長所:
Eメールによる配信の場合、貴社が保持するCADモデルと潜在顧客に送付するモデルを100%制御することができます。これは素晴らしいことです。貴社は製品情報をどこまでモデルに含めるか(または含めないか)を独自に設定することができます。
貴社は既にCADモデルや顧客に配布可能な製品データを所有しているかもしれません。であれば、既存の資料を流用して簡略化された公開バージョンのCAD製品モデルを作成し、潜在顧客に送付することが可能です。
もう1つの利点は費用の手頃さです。Eメールによる配信は多額の費用をかけることなくCAD/BIMモデルを設計者に配信できるため、短期的なコストに関しては問題になりません。
短所:
これは一見すると最も容易なCAD配信の方法ですが、その利点は同時に欠点にもなります。
メールでのCADモデル配信は、制約がある上に大きなリソースを必要とする方法です。
貴社はCADデータの配信について100%責任を持つことになります。つまり、正しい情報を持たせた製品サンプルを、知的所有権を渡すことなく配信する負担が貴社のチームにかかってくるのです。
この配信方法によるコスト節約にも疑問が残ります。CADリクエストのあった製品モデルを作成する設計スタッフには既に給与を支払っています。しかし、それは本当にそういった業務を任せるためのスタッフでしょうか? こうした無意味なタスクをエンジニアの業務から取り除くことで、より重要な設計に時間を使うことができます。
この方法はエンドユーザーや顧客にとっても理想的ではありません。貴社からCADファイル(通常はエンジニアが使用しているCADのネイティブフォーマットではありません)が送られていくるのを待つ必要があり、その間プロジェクトが滞ることになります。貴社がメールによる配信だけを提供している場合、若いエンジニアなどは貴社に興味すら示さないケースも多くなるでしょう。彼らは効率のよいセルフサービスを探しており、他社がこれを迅速に提供していればそちらに移ります。
2.自社管理のソリューション
顧客にインスタントな3D CAD/BIMモデルを提供し、かつWebサイトからすぐに利用できるようにすることが必要なのは理解しているとします。
その場合に3Dカタログや製品コンフィグレーターを自社管理で用意したいと考えるかもしれません。
では、自社管理の3Dカタログとはいったいどういったものでしょうか?
自社開発のカタログは、3D CADモデルを顧客に配信するのを目的として自社で構築しサポートを行うアプリケーションのことです。このツールは多くの場合、自社のCADチームによって構築され、専属のチームまたは担当者が保守・更新を行い、オンライン上の製品選定者へのCAD/BIM製品モデル配信を促進します。
インタラクティブであることがカタログコンフィグレーターの肝です。顧客が製品モデルを自分で見つけて選定できるようにしなければなりません。(特殊なアセンブリの場合に貴社のサポートに問い合わせる方法を用意しておくことは必要です)
正しい製品コンフィグレーターにはシステムに組み込まれた論理ルールが必要です。言い換えると、ユーザーが選定可能な製品データを構築可能な製品仕様に基づいて決定するパラメーターを設定する「レシピ」を各製品に持たせる必要があります。こうすれば、エンジニアや建築家は貴社が製造できない部品を選定してしまうことはありません。
長所:
この配信方法もやはり、製品モデルとCADデータの配信を部品メーカーが100%制御できます。このソリューションではCAD/BIMファイルを保管し、保全し、継続的に更新することができます。この点が電子メールのみでCADデータを配信する方法との相違です。
自社管理のカタログは優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するのに適したツールでもあります。顧客は貴社の営業担当者や設計チームを介することなく製品モデルをオンデマンドで入手できます。
短所:
実のところ自社開発の3Dカタログソリューションは独創的なアイデアではなく、また多くの複雑な問題を伴います。その問題を自社で解決する必要があります。
独自の製品コンフィグレーターを構築する際には次のような課題に直面します。
- メンテナンスが時間と手間のかかるタスクになる可能性があり、継続的に更新作業を行う専属のチームまたは人員が必要となる
- 知的財産・エンジニアリングデータの保護が困難を伴う可能性がある
- 多くの場合、ダウンロードできるCADフォーマットは1つだけで、場合によってSTEPファイルが利用できる程度となる
- 大規模なホスティングブランチが必要となり、Webサイトの速度が低下する
- 多額の費用とリソースが必要となり、メンテナンスやアップグレードが困難となる可能性がある
3.ニュートラルクラウド
この方法ではサードパーティプロバイダーが、貴社サイトからの3D CAD/BIMのダウンロードをプロバイダー管理のソリューションを介して提供します。
サードパーティプロバイダーは、貴社の既存のCADモデルを取得して、その公開バージョンを独自のプラットフォームから提供します。ユーザーはプロバイダーのプラットフォームや貴社サイトからCADカタログを介してモデルにアクセスできます。
多くの場合、サードパーティプロバイダーはCADソフトウェアのプロバイダーであり、独自のCADダウンロードポータルを所有しています。貴社はそこでもCADカタログを公開することができます。貴社にとって宣伝効果があり、ブランド認知にも繋がります。
このCADコンフィグレーターやCADカタログはiframeで作られ、貴社のWebサイトに埋め込むことができます。WebサイトにYouTubeビデオやSNSの投稿を埋め込むのに似ていますが、CADカタログはより多くの帯域幅を必要とします。
長所:
この方法は、困難で大きなリソースが必要な自社カタログのメンテナンスを行うことなく貴社WebサイトからCADダウンロードを提供する効率的な方法です。
サードパーティプロバイダーを利用することでより多くの顧客にリーチできます。CADカタログは貴社WebサイトでもプロバイダーのCADダウンロードポータルと同じように表示されます。プロバイダーが提供するCADソフトのみを使用している多くのエンジニアや設計者は、こうしたCADダウンロードポータルでネイティブ形式のCADダウンロードを見つけることができると知っています。貴社製品はポータルから素早くダウンロードして利用できるようになります。
また、このインターフェイスはWebサイトの帯域幅を圧迫することなく、顧客に優れたオンラインエクスペリエンスを提供します。CADカタログによって、ユーザーは3Dモデルをその場で見つけ、選定し、ダウンロードすることが可能となり、設計時間を短縮し、カスタムCADモデルのダウンロードプロセスを合理化できます。
最後に、自社サイトにCADモデルを置くことはGoogleでの評価を改善するのにも役に立ちます。これは貴社Webサイトが十分な帯域幅を持っている場合の話です。そうでない場合はコンフィグレーターによってサイトの速度が低下します。
短所:
この方法を機能させるためには、貴社はCADモデル配信に対する制御をある程度諦める必要があります。これはサードパーティプロバイダーが知的財産を保護できないという意味ではなく、ユーザーの体験を貴社のブランドや好みの外観に合わせてパーソナライズするという点において制御の余地が下がるという意味です。
同様に、サードパーティプロバイダーは、CADカタログソリューションの機能を変更したり、CADダウンロードポータルを再編成したり、あるいは完全に閉鎖したりということもありえます。そういった場合でも制御の余地はほとんど、あるいはまったくないため、CAD配信ができなくなる可能性があります。
このソリューションの重要な問題点は、ネイティブフォーマットでのCAD/BIMダウンロード提供に制限があることです。ほとんどのサードパーティプロバイダーは1種類から数種類のフォーマットで製品モデルのダウンロードを提供しています。ネイティブCADフォーマットでのダウンロードに対するエンジニアの期待は高まっており、それが貴社と競合他社の大きな差異となるかもしれません。
製品の変更と更新にも手間がかかる可能性があります。特定のCADモデルに変更を加える必要がない場合でも、製品ファミリーへの変更がすべてのCADモデルとダウンロード可能なすべての場所に反映されていることを確認する必要があります。ニュートラルクラウドを使う方法の場合、結局は誰かがCADモデルそれぞれをチェックして更新しなければならないのです。
4.ネイティブクラウド
最後に取り上げるのがネイティブクラウドを用いてCAD配信を行う方法です。この方法はニュートラルクラウドを使う方法と非常によく似ていますが、制限がより少なく、メンテナンスプログラムも合理化されています。
ニュートラルクラウド方式では、サードパーティプロバイダーは貴社の既存モデルを公開バージョンに変換し、それをいくつかのCADフォーマットで配信します。ネイティブクラウド方式では、サードパーティプロバイダーはCADモデルを再作成し、「レシピ構造」やパイロットモデルを構築します。このモデルは選定が容易で、各製品の選定や製品ファミリー内の別の部品にも簡単に適用でき、どんなCAD/BIMフォーマットでも公開バージョンのモデルを提供できます。
要約すると、両者の違いはCAD製品モデルの構築方法にあり、これは3Dカタログの使用方法とメンテナンス方法に影響します。
長所:
ネイティブクラウド方式を利用すると、自社管理方式の場合に発生する手間をかけることなく、エンジニアにCADモデルを配信する機会を最大化できます。
サードパーティプロバイダーは自社のプラットフォーム上で「マスターカタログ」を公開し提供します。これは配信されているすべてのCAD製品モデルの単一のソースとして機能します。貴社はこのカタログを自社Webサイト、CADダウンロードポータル、販売代理店のWebサイト、USBドライブなど、CADモデルを提供している様々な場所で公開できます。
ニュートラルクラウド方式と異なり、このマスターカタログ構造のおかげで製品データの変更が一度に行え、3Dカタログが再発行されるとすべての場所で自動的に反映されます。
このソリューションでは、主要な6つのCADソフトウェアすべてのネイティブフォーマットでダウンロード提供できます。また、ネイティブクラウドなら3Dビジュアル化、PDF製品データシート、2D/3D中間フォーマットもサポートできます。
短所:
ニュートラルクラウド方式と同様に、CADモデルの配信について貴社側で100%の制御はできません。CAD/BIMモデルを提供するためにサードパーティプロバイダーに依存することが、自社管理のソリューションと比べて価値のあるパートナーシップとなるか判断する必要があります。
加えて、ネイティブカタログ構築の作業にはより時間がかかり、リソースも大きくかかります。この方法を長期的な投資と見なすなら、これにかかる時間は将来的なメンテナンスの手間の削減によって相殺されます。
ネイティブクラウド方式は高度な機能を持っているため、準備段階で多額の費用がかかります。もちろん、CADカタログの見積には製品の形状や数量などいくつかの要因が絡むため、実際の費用は部品メーカーごとに変わります。
まとめ
オンラインで顧客に3D CADを最も効率的に配信する4つの主要な方法について説明しました。貴社にとって最適な配信方法はどれでしょうか?
優れたカスタマーエクスペリエンスの提供は今後ますます重要度を増していきます。米調査会社Gartnerは、Eコマースの隆盛によって2020年には全購入の81%がカスタマーエクスペリエンスに基づくものになると予測しています。
BtoBの製造業も例外ではありません。エンジニアは設計に使う部品を探しにメーカーのWebサイトを訪問します。そこから実際に設計に組み込むまでの時間と手間は少なければ少ないほど優れたカスタマーエクスペリエンスとなります。製品のデータが入手できないとなれば、エンジニアは離脱して他のメーカーを探しに行ってしまうかもしれません。
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